東北芸術工科大学文化財保存修復研究センター

山形県鶴岡市善寳寺五百羅漢修復プロジェクト 山形県鶴岡市善寳寺五百羅漢修復プロジェクト

歴史の「物語」を、次の世代へ

日本には地域性豊かで多様性に富み、悠久の歴史の中で蓄積されたかけがえのない多くの文化財があります。文化財には当時の知恵や技術、人々の営みや、手から手へと大切に守り受け継がれてきた記憶が内包され、これまで歩んできた歴史の「物語」を私たちは知ることができます。

現代に生きる私たちがその「物語」を知ることは、文化的な伝統を尊重する心を育て、人々の創造性を育み、未来を築く豊かな心を養います。文化財の保存修復は「物語」を次の世代へ紡いでいく重要な役割を担っています。

本プロジェクトについて

本プロジェクトは、龍澤山・善寳寺の五百羅漢堂に安置される500体を超える仏像群に対する保存修復事業です。宗教法人善寳寺(第42世五十嵐卓三住職)からの委託により、東北芸術工科大学文化財保存修復研究センターにおいて2015年度より開始されました。プロジェクトは概ね20年間をかけて完了する予定です。プロジェクトには同センター教員・研究員と共に文化財保存修復学科の学生達も参加しています。

※善寳寺について
善寳寺は山形県鶴岡市にある曹洞宗寺院で、寺伝によれば天慶年間(938-947)に 結ばれた草庵・龍華寺を起点とする。現在は龍神信仰の寺院として、全国の漁業や海運関係者からの絶大な信仰を集める。2015年には五百羅漢堂を含む6棟が登録有形文化財に指定された。五百羅漢堂は弘化3年(1846)発願〜安政2年(1855)落慶であることが堂内木札に明記され、大工・劔持嘉右衛門の建造とされる。また仏像制作費の寄附を募る嘉永2年(1849)の文書があることから、仏像群のほとんどは嘉永2年〜安政2年の間に制作されたと考えられる。

プロジェクト動画

東北芸術工科大学
文化財保存修復研究センター

文化財保存修復研究センターは、全国初の「文化財の大学附属病院」として2001年設立されました。彫刻・東洋絵画・西洋絵画・遺物・保存科学の分野があり、東北地方のみならず、全国の美術館・博物館・寺院などから依頼を受け、文化財の維持・継承に取り組んでいます。また、当大学の文化財保存修復学科と連携し、受託事業の一部を授業に提供しています。センター研究員による学生指導も含め「生きた教育現場」として、文化財保存修復技術者の育成と文化的な伝統を尊重する心を育てる、独自の文化財保存修復教育を行っています。

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